「お金のデザイン研究所」設立!所長の加藤康之教授インタビュー(後編)研究所が目指すものとは

THEO by Money Design
Letter from THEO
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7 min readJun 16, 2019

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お金のデザインは、資産運用技術の研究を行う「お金のデザイン研究所」を2019年6月1日に設立しました。所長に就任した、首都大学東京特任教授、京都大学客員教授であり、当社アカデミックアドバイザーの加藤康之教授にインタビューを行いました。

前回は、日本の資産運用の状況や、世界の投資トレンドについて話をききました。

後編では、アカデミックアドバイザーとしてのお金のデザインとの関わりや、今回設立した「お金のデザイン研究所」についてどういった研究を行うのか、設立に込められた想いなどについて、話を聞きました。

-加藤教授は、お金のデザインでアカデミックアドバイザーとしてTHEOなどのポートフォリオの考え方や、資産運用戦略を監修してくださっています。弊社のようなスタートアップに関わっているきっかけや理由は何でしょうか。

加藤:私は過去40年にわたり、大手金融機関や大学で資産運用の研究に携わってきました。

今、フィンテックの時代を迎え、お金のデザインのような独立系のベンチャー企業も様々な金融サービスを提供出来る時代になっています。特に高齢化でライフスタイルが多様化する中、フィンテックによるパーソナルな金融サービスが重要になると考えています。資産運用研究のフロンティアはここにあると確信したからです。

-今回設立を発表した「お金のデザイン研究所」の所長に就任されましたが、研究所設立のきっかけを教えてください。

加藤:2つあります。
1つは、AIやビッグデータなど資産運用における先端的テクノロジーの導入が急速に進んでいるためです。お金のデザインにおける資産運用技術の研究開発の速度を速める必要があると考えました。
もう1つは、先ほどの質問にもありましたが、個人投資家の資産運用への関心が高まっているためです。これは、若い現役層と高齢の退職層の双方に共通しています。これら多様化する個人投資家の様々なニーズに答えるため、多様な資産運用サービスの開発が急務と考えました。

-「お金のデザイン研究所」では具体的にどのような研究をされるのでしょうか。

加藤:多様化する「人生100年時代」を見据えた投資理論や資産運用ソリューションの開発など、さまざまな研究内容を考えています。まずはAIやビッグデータを活用したリスク管理手法の開発、あるいは、投資家のライフステージに適した資産運用手法の開発などです。また、ロボアドバイザーによるESG投資も重要なテーマになるでしょう。

-お金のデザインでは、これまでも大学などの機関と資産運用に関する研究を行ってきました。京都大学経営管理大学院と人工知能・機械学習の分野で研究し、2018年5月、ロボアドバイザーTHEOに「AIアシスト機能」を搭載しています。このような金融機関とアカデミアの連携も強化していくと聞いています。

加藤:興味深いことに資産運用ビジネスは歴史的にアカデミックが主導してきた分野です。今では資産運用手法の定番となっているパッシブ運用やスマートベータ、あるいは、多くのファンドがポートフォリオ構築に使っている最適化手法やリスク管理手法も、初めにアカデミックな投資理論が開発され、その後に金融機関がそれらを実用化してきたと言えます。
その理由は、証券市場は投資理論研究の基礎となるデータが最も整備された市場であり、研究者が取り扱いやすいからです。この傾向は今後も変わることはないでしょう。
したがって、お金のデザイン研究所でも大学との産学連携をますます深めていきたいと考えています。

-最後に「お金のデザイン研究所」が目指すものについて、教えてください。

加藤:先にお話したとおり、日本人の資産運用は欧米に比べると遅れています。また、日本は少子高齢化や経済格差の拡大に代表されるさまざまな社会的課題を抱えています。だからこそ、日本人の資産運用を支援し、個人金融資産の成長に貢献することが必要と考えています。

お金のデザインは、THEOやお金の健康診断など、個人個人に合わせたパーソナルなサービスを次々に作り出しています。社員のみなさんも、会社のミッションである「人とお金の新しい関係を創る」を体現すべく、新しい世界を作っていくエネルギーに溢れています。

「お金のデザイン研究所」は、個人の資産運用や資産運用業界全体の発展に寄与していけるよう、先進的な研究を行っていきたいと思っています。

-ありがとうございました。

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<プロフィール>

お金のデザイン アカデミックアドバイザー/首都大学東京特任教授 京都大学客員教授

加藤 康之(かとう やすゆき)

東京工業大学大学院修士、京都大学博士。1980年4月(株)野村総合研究所入社。海外拠点を経て同社システムサイエンス部長、野村證券(株)金融工学研究センター長などを歴任後、野村證券(株)執行役。2011年4月から京都大学大学院経営管理研究部教授、2019年4月から現職。他に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)経営委員、国民年金基金連合会資産運用委員会委員、証券アナリストジャーナル編集委員、日本ERM学会会長などを兼任。

著書「初心者のための資産運用入門」「金融工学事典」東洋経済新報社、「退職後の資産運用 — 超高齢化時代のリタイアメント・マネジメント入門」「ESG 投資の研究 — 理論と実践の最前線」一灯舎、”The Emergence of ETFs in Asia-Pacific” Springerなど

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